2013年7月16日火曜日

原画展『佐々木マキ見本帖』に行ってきました

滋賀県立近代美術館で開催中の原画展『佐々木マキ見本帖』に行ってきました。

佐々木マキ見本帖 « 滋賀県立近代美術館

初期のイラストや絵本の原画が特に良かったです。初期の原画を見た後だと、最近描かれた絵本の原画は物足りなく感じてしまいました。漫画家の絵の線が何年も描いているうちに洗練されてくるのと同じような感じで、原画そのものが持っている情報量が初期に比べると少なく感じて、別に手を抜いているわけではないと思うのですが、物足りなく感じてしまいました。

初期の『やっぱりおおかみ』の原画などからは孤独感がにじみ出ているように感じて、見ながら胸に迫ってくるものがありました。もっとも実際に佐々木マキさんが当時孤独を感じていたかというと全く不明なのですが…。奥さんもちゃんといらっしゃったようですし、単に私の思い込みかもしれません。

村上春樹の短編って佐々木マキの世界と相通ずるところがあるような気がしました。佐々木マキさんが表紙や挿絵を描かれているから余計にそう思うのかもしれませんが…。

初期のマンガ作品は、昔小学館から刊行されていた大日本百科事典ジャポニカのマンガの項目で見たような気がします。「佐々木マキ」っていう名前は当時の私(小学生か中学生ぐらい?)にとってすごくアングラなイメージでした。吹き出しの中の手書きのぷっくりした肉厚の明朝体ひらがなが淫靡な感じで印象に残っていました。

展覧会の図録に再録された文章を読む限りでは、絵本には思入れがなさそうな発言しかしていないのがちょっと意外でした。

お楽しみのミュージアムショップのオリジナルグッズは、かわいいものが多くてどれもこれも欲しくなって困ってしまいました。

佐々木マキ見本帖展 記念商品(株式会社メディアリンクス・ジャパンのサイト)

知人のお土産にマスキングテープを、自分用にはクリアファイルとピンバッジを購入しました。

当初の一番の目的はミュージアムショップで『私家版アンデルセン・絵のない絵本』を購入することでした。結局購入はしませんでしたが、でもあらためて『絵のない絵本』っていいよなあと思いました。展覧会場の中に佐々木マキさんの絵本を読むことの出来るコーナーもあって、そこでも読むことができました。ミュージアムショップに置いていたものはサイン入りでした。

美術館のサイトには「作者のアトリエを紹介するショート・フィルムも上映」とありますが、上映はしていませんでした。…と思ったら出入り口でビデオで流していたらしいです。全く気づきませんでした。

間に休憩も挟んで、見終わるまでちょうど3時間かかりました。へとへとになりましたが、とても見応えがありました。(7月14日)



2回目の観覧に本日行ってきました。

東京会場の武蔵野市立吉祥寺美術館では、展示スペースの都合によるものか、会期中に前後期で展示替えを行ったようですが、滋賀会場では特に展示替えは行っていないようでした。

最近描かれた絵本が単純で物足りない、とは今回は思いませんでした。前回は順路に沿って初期の絵本から順番に根を詰めて見たので、そう思ったのかもしれません。今回は2回目ということで、全体をざっと見ながら気になる絵だけをじっくり見ましたので、単純に初期の絵本のほうが良い、とは思いませんでした。

今回は、透明水彩とカラーインクの発色にとてもひかれました。配布されている出品リストに使用素材も記されているのですが、専門家ではない私にはどんな素材かわからない名前も出てきて、こんなときに一緒に見て説明してくれる人がいたらいいな、と思いました。透明水彩とカラーインクというのも、出品リストにそう書いてあったからそれをそのまま言っているだけで、このふたつがどう違うか、わかって言っているわけではないのです。

展示されている絵本の原画には文章がないので、見ているうちに、これってどんなストーリーなんだろう、と文章つきで読んでみたくなりました。文章を消して絵だけにした絵本を子供に見せて、自由に文章を想像させて書かせてみたらおもしろいかも、と思いました。

今回は会場入り口のショートフィルムも見てきました。絵本をつくるにあたって、よく映画やアニメなんかで見られるのと同じような絵コンテや、キャラクターの設定資料を作っているらしくて、その資料が映し出されていたのがすごく興味深かったです。

また、これからどんな作品をつくりたいかについて、「子どものためだけというのは描いていてしんどいし、やはり自分がたのしめないと読者も楽しめないと思う」「親子一緒に楽しめる、大人の鑑賞にも、子どもも楽しめるようなところを狙いたい」と言っていて、本当にこの人は最初からずっと、「子供のため」に絵本を描いてきたわけではないんだな、と思いました。(8月11日)

補遺
  • 図録には出ているのに展示はされていない作品がいくつかありました。
  • ミュージアムショップのグッズで、メディアリンクス・ジャパンのサイトに掲載されていないものがありました(携帯クリーナー。図柄は小学館版『絵のない絵本』の第8夜)。
  • ショートフィルムのタイトルは「佐々木マキ/さんぽのあしあと」。英文タイトルは "—Those are the days, my friend— The Mark of Maki Sasaki"。



変更履歴
2013年7月29日:文章を一部修正・追加
2013年8月11日:2回目の観覧の文章を追加
2013年8月19日:文章を一部修正
2013年8月21日:ショートフィルムの佐々木マキの言葉を正確なものに訂正
2013年8月23日:「補遺」を追加